HSP が素敵な恋愛をするために
あなたはいま、充実した恋愛をしていますか?
誰だって一生に一度くらいは素敵な恋愛をしたい、と思いますよね。
ですがもし、あなたに HSP の傾向がある場合は、恋愛に対して慎重になりすぎたり、自信のなさから相手に依存しすぎたりしてしまっているかもしれません。
しかし安心してください。
私も HSP として、恋愛に対する難しさを感じてきました。
さまざまな恋愛本や心理学の本を読んで研究し、いまでは結婚することもできました。
この記事では、私のいままでの学びと経験をもとに
- 恋愛についての基礎知識
- HSP の恋愛傾向について
- HSP が充実した恋愛をするための処方箋
の3つのポイントについて、わかりやすく紹介していきます。
そもそも恋愛とは?
まずは、そもそも恋愛とは何か?
についてみていきいましょう。
いろいろと考えすぎてしまう HSP ですから、充実した恋愛をするためには、恋愛それ自体について知っておいたほうが楽になれるからです。

1-1. なぜ人は人を愛するのか?
なぜ人は人を愛するのか?
なかなか難しい問題ですが、実はこれ、「子孫繁栄のため」といわれています。*1
1) 愛情とは子孫繁栄のために発達した感情?
私たちの先祖が、まだ狩猟採集民だったころ。
女性がひとりで妊娠、出産そして子育てをすることは、とても大変なことでした。
そこで子孫を絶やさないために、男女が協力しあうように人は進化していきました。
男性にとっても、自分の遺伝子を受け継いでいる子どもが元気に育ってくれたほうが、生物としてのメリットがあるからです。
このような男女の協力活動が、やがて「愛」や「恋愛」という感情になっていったと考えられています。
2) 愛という感情は長い時間をかけて進化してきた
ちなみに人類が狩猟採集から農耕中心の生活にシフトしたのは、約一万二千年前と考えられています。*2
日本では、紀元前4世紀頃からの弥生時代に本格的な農耕生活がはじまった、とされています。*3
私たちの恋愛感情は、このような長い年月を経て、現代の私たちにも引き継がれているのでしょう。

1-2. 現代の恋愛のしかたは?
もちろんそうはいっても、恋愛のしかたは時代によって変わってきます。
例えば、現在の私たちが恋愛について考えるときは、
恋愛 → 結婚 → 出産
という流れを自然にイメージしますよね?
- 自分の意思に基づいて恋愛をして、お互いを選ぶ
- 愛に支えられた関係を深め、夫婦になる
- 夫婦は愛しあうものであり、不倫や離婚はNG
このような恋愛を理想とする考えかたを「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」といいます。
ロマンティック・ラブ・イデオロギーとは、いいかえるならば、「愛・性・生殖」を結婚の中で行うことを理想とする考えかたです。*3
この考えかたは、日本では戦後まもなく普及しました。*4
それ以前はお見合い結婚が主流であり、その相手を親が決めることもあったそうです。
この章のまとめ
このように歴史の流れをみてみますと、私たちが「いまは当たり前」と考えている恋愛も、「必ずしもそうではない」ということがわかります。
現代において、ロマンティックな恋愛は理想に思えるかもしれません。
しかしこうやって恋愛を歴史的に振り返ることで、それにこだわりすぎる必要もない、ということが理解できると思います。
大切なのは、自分らしく充実した恋愛ができることではないでしょうか?
そのために、次は HSP の恋愛傾向についてみていきましょう。

HSPの恋愛傾向をさぐる
HSP は一般的に「繊細な人」などといわれます。
しかし、「HSP の繊細さ」とはなんでしょうか?
HSP の恋愛傾向について知るために、この点について理解を深めていきましょう。

2-1. 性格の特徴から HSP の恋愛をみる
実は、最近の HSP の研究によれば、HSP には以下のような性格の特徴があるといわれています。
- 外向性の低さ(内向的)
- 神経質傾向
- 感情反応性の高さ
ここで、「外向性」と「神経質傾向」は、ビッグファイブという性格の理論から説明することができます。
このような HSP ならではの性格の特徴をみてみましょう。
それによって、HSP の恋愛傾向についての理解を深めることもできるはずです。
1) 低い外向性(内向的)とHSPの恋愛
外向性というのは、ポジティブなことにどれだけ反応するか? ということだと考えてください。
ポジティブなことというのは、「仲間、興奮、達成、賛美、ロマンスなどの楽しいこと」です。
つまり外向的な人は、報酬や快感に対して敏感なのです。
だからこそ、外向的な人は社交的であったり、活動的であったり、リーダーシップを発揮したりします。
内向的であるというのは、これと逆になります。
- 仲間、興奮、達成、ロマンスなどに対して鈍感
- 快感や報酬が活動の動機になりにくい
このような特徴を恋愛に当てはめてみると、どうなるでしょうか?
- HSP は内向的なため、仲間や興奮、ロマンスなどに対して鈍感
- なのでそもそも恋愛に対して(外向的な人に比べて)鈍感
- 恋愛を成就させることに対しても慎重になりがち
このような傾向があるといえそうです。
ただし HSP の提唱者エレイン・アーロンによれば、外向的な HSP も一部、存在するとのことです。
2) 神経質傾向と HSP の恋愛
次に、神経質傾向についてみてみましょう。
神経質傾向というのは、ネガティブなことにどれだけ反応するか? ということだと考えてください。
ネガティブなことというのは、ここでは「不安や恐怖」のことだと考えてください。
神経質傾向の高い人は、不安や恐怖を感じることが多く、心配性であったり、不安症であったりします。
さらに、心配や不安を、自分自身に向けることがとても多いともいわれています。*5
その結果、自尊感情が低くなることもあります。
自信をなくしているときや不安なときにやさしくされると恋に落ちやすい、とよくいわれます。
実はこれ、「好意の自尊理論」といって、心理学的にも証明されているんです。*6
実験によって自己評価を低められた女性ほど、デートに誘ってくれた男性のことを高く評価しがちなんだとか。
HSP は、恋愛に対してもネガティブなことばかり考え悩むことが多い傾向にあります。
HSP が激しい恋愛に落ちやすく、また依存症的でもあるといわれているのは、好意の自尊理論で説明できるのかもしれませんね。
- HSP は神経質傾向が高いため、恋愛に対してネガティブなことばかり考え悩むことが多い傾向にある
- HSP は不安を感じることが多いため「好意の自尊理論」から、やさしくしてくれる異性が表れると恋に落ちやすい傾向にある
2-2. HSP の恋愛傾向のまとめ
ここまでの HSP の恋愛傾向についてまとめてみましょう。
- 恋愛を成就させることに対して慎重になりがち
- 恋愛に対してネガティブなことばかり考え悩むことが多い
- やさしくしてくれる異性が表れると恋に落ちやすい場合も
もちろん HSP といっても人それぞれです。
ここではあくまでも、性格的にはこのような恋愛の傾向があるよ、ということだと考えるとよいでしょう。

HSP の恋愛傾向を理解して充実した恋愛をするための5つのヒント
ここまでの内容をもとに、HSP が幸せで充実した恋愛をするための方法について考えてみましょう。

3-1. 恋愛小説や恋愛論に関する本を読もう
恋愛小説や恋愛論に関する本を読むことは、一種の「恋愛の勉強」になります。
1) 恋愛論
私は若い頃に遠藤周作の「愛情セミナー」を何度も読み返しました。
「一人の女性を愛し続けることこそが恋愛である」
こんなテーマで、恋愛についてユーモラスな文体で書かれています。
2) 恋愛小説
小説を読むことで、自分では体験できない恋愛を代理的に経験することができます。
個人的には、綿矢りさの小説をよく読みました。
3) 恋愛でだまされないために
先に述べたように、HSP は自尊感情が低いためか、いわゆる「悪い相手」にひっかかってしまうことがあるようです。
充実した恋愛のためには、「悪い人」についても知っておくとよいでしょう。

3-2. お互いの恋愛スタイルについて知ろう
恋愛にはさまざまなスタイルがあり、ひとりひとり違っています。
例えばリーという心理学者が考えた「ラブスタイルによる分類」について見てみましょう。
リーのラブスタイル類型論
- ルダス:恋愛をゲームとして捉え、楽しむことを大切にする
- プラグマ:恋愛を地位の上昇などの恋愛以外の目的を達成するための手段として考える
- ストーゲイ:おだやかな、友情的な恋愛
- アガペ:相手の利益だけを考え、相手のために自分自身を犠牲にすることもいとわない恋愛
- エロス:恋人の外見に強烈な反応を起こす恋愛
- マニア:激しい感情を持つ恋愛。独占欲が強く、嫉妬深く、熱中し、愛されていることを繰り返し確かめたがる恋愛。
あなたの恋愛傾向はどれにあたりますか?
また相手はどんな恋愛傾向がありそうでしょうか?
このような恋愛スタイルについて知ることは、より充実した恋愛をするためのヒントになるでしょう。

3-3. 恋愛に対するプラス面とマイナス面を書きだしてみよう
あなたは充実した恋愛をしたいと考えていらっしゃいますか?
その場合は、恋愛に対するポジティブな側面とネガティブな側面を見つめなおすことをおすすめします。
ものごとの両面を考えられる人は、その相乗効果でうまくいきやすいといわれていまして、「二重思考」とも呼ばれています。
これは、恋愛に対しても同様です。
ある実験では、ひたすら甘いデートを夢見たり、恋ごころを打ち明ける難しさばかりを考えたりするよりも、二重思考を取り入れた方が、恋愛の成功確率が高まったそうです。 *7
HSP の場合、神経質傾向が高い人が多いですよね。
その結果、ネガティブなことばかりを考えてしまいがちです。
そこで現在の恋愛におけるポジティブな側面についても、書きだしてみるとよいでしょう。

3-4. 自分の行動を制御するスキルを身につけよう
ちなみに、恋愛関係がうまくいく、いちばんの秘訣はなんだと思いますか?
実はそれは、セルフコントロールにあります。*8
セルフコントロールというのは、自分の行動を自分で制御すること。
もちろん私たちには感情がありますから、ロボットのように振る舞う、ということではありません。
恋愛という場面では、ついつい感情が高まってしまい、それがもとで失敗してしまうことがよくあります。
セルフコントロールができる人は、このような場面で上手に自分を制御して、良好な関係を続けていけるといいます。
では、恋愛においてセルフコントロールを身につけるには、どうすればよいでしょうか?
(この下に続きます)

3-5. 相手に対する自分の気持ちや考えを書きだす
大切なことは、「自分の相手に対する気持ちや考えを書きだしてみる」ことです。
1日20分を3日間だけ、相手に対する自分の気持ちや考えを書きだす
これだけでも、お互いの関係が長続きするといわれています。*9
なぜ、書きだすことに効果があるのでしょうか?
1) 気持ちを書きだすことの効果とは?
それは、自分の相手に対する気持ちを整理すると、自分の態度や行動を変えることができるからです。
意外に思われるかもしれませんが、自分が変わることでその影響が相手に伝わり、相手も変化すると考えられています。
特定の相手がいない場合でも、気持ちや考えを書きだすことは有効です。
書きだすことで、気持ちを客観的に見つめることができるようになり、「二重思考」や「セルフコントロール」がやりやすくなるからです。
2) あなたの気持ちと考えを整理する「頭とこころの整理法」とは?
あなたの感情と思考を見つめなおすために、おすすめの方法があります。
頭とこころの整理法という、あなたが気になっていることを安心して忘れられて、必要なときに思いだせる方法です。

まとめ:HSP がよりよい恋愛をするために
この記事では、HSP が充実した恋愛を送れるようになるために、
- 恋愛についての基礎知識
- HSP の恋愛傾向について
- HSP が充実した恋愛をするための処方箋
について紹介しました。
特に、あなたの感情や考えを書きだして気持ちを整理していくこと。
これが充実した恋愛のためにおすすめの方法です。
参考資料
*1 史上最強図解 よくわかる恋愛心理学 P.10
*2 サピエンス全史(上)P.10
*3 新 もういちど読む山川 日本史 P.20
*4 問いからはじめる家族社会学 P.28
*5 パーソナリティを科学する P.130
*6 史上最強図解 よくわかる恋愛心理学 P.76
*7 その科学が成功を決める P.108
*8 史上最強図解 よくわかる恋愛心理学 P.10
*9 その科学が成功を決める P.227