HSP の生き方を変えるちょっと意外な方法
あなたも、「HSP」という言葉を聞いたことがあると思います。
HSPは、心理学者 エレイン・アーロンによって 1990年代に提唱されました。
いわゆる「とても繊細な人」のことをいいます。
数年前、HSP に関する本を読んでみました。
「もしかして自分って HSP ?」
と思うくらい、当てはまるところがありました。
しかし、育児や奥さんとの関係で悩んでいたこともあり、じゃあどうしたらいいのか? についてはわからないままでした。
試行錯誤のすえ、気づいたことがあります。
それは、
- HSP という考えかたにとらわれず、よりひろい視点から自分を知ること
ということ。
これで、だいぶ楽に生きられるようになりました。
そこでこの記事では、このような私自身の経験をもとに
- HSP が楽になれる、自分らしい生き方を実現する方法
についてご紹介します。
HSP のネガティブな特徴も活かす方法なので、誰にでも当てはまる方法ではないかもしれません。
しかし、もしあなたが、「HSP っていうことはわかったけど、いまいちその先に進めない」と感じていらっしゃるならば、この記事を読むだけでこれからの生き方についてのヒントを得ることができるはずです。

HSP の生き方に影響を与えるもの
2018年に HSP についての研究が発表されました。
この研究では、HSP の性格的な特徴などについて述べられています。
HSP とは:
- 内向性
- 神経質
- 高い感情反応性
を持っていて、さらに「低・中・高」の3つのレベルに分けることができる。
とされています。
それぞれの性格的な特徴について、わかりやすくお伝えしておきましょう。

1-1. 内向性が生き方に及ぼす影響
内向性とは、ポジティブな情動に対する反応の鈍感さのことをいいます。
ポジティブな情動とは
- 仲間、興奮、達成、賛美、ロマンスなどの楽しいこと
- 快感や報酬を得ること
いわゆる内向的な人は、これらの快感や報酬を得ることが活動の動機になりにくいです。
そのために、下記のような特徴があります。
内向的な人の特徴
- 結果より過程を大切にしたり、量より質を求めたりする
- 落ち着いた環境を好み、自分の時間を大切にする
内向的な人の人生の楽しみかた
内向的な人は、「内気」とか「引っ込み思案」などといわれることが多いです。
しかしだからといって、ネガティブな性格というわけではありません。
あえていえば「ニュートラル」という感じでしょうか。
内向的な人は、感情表現が控えめだったり、大騒ぎすることが苦手なだけで、その人なりに喜びや楽しみを感じているのです。

1-2.神経質傾向が生き方に及ぼす影響
神経質傾向とは、ネガティブな情動に対する反応の敏感さのことをいいます。
ネガティブな情動とは
- 恐怖や脅威
- 遭遇する確立は低いけれど絶対に経験したくないこと
「遭遇する確立は低いけれど絶対に経験したくないこと」というのは、例えば飛行機事故などのことです。
飛行機が墜落する確率は、一万分の一以下といわれています。
しかしそれでも、絶対に体験したくはないですよね。
神経質な人は、こういったことに対して敏感に反応してしまうのです。
そのために、下記のような特徴があります。
神経質な人の特徴
- 心配性
- 不安症
神経質傾向が人生に与えるメリット
繊細すぎて困ってしまうのが HSP の特徴ともいえますが、そこにもメリットはあります。
ものごとに対して慎重になることができ、失敗しないように行動することができるという点です。
HSP はそのセンサーが敏感すぎる場合がありますが、メリットにもなるんだ、ということを知けば、よりよい対処法を見つけることができます。

1-3. 感情反応性の高さが生き方に及ぼす影響
感情反応性とは、あるできごとに対してどれくらい感情が反応するかのことをいいます。
先ほど紹介した HSP の研究によれば、「悲しい動画」と「幸せな動画」を観てもらい、それぞれ前後の感情の変化で調べることができるそうです。
HSP は、感情の反応性が、普通の人より高い傾向にあるといわれています。
これは私の勝手な考えかたですが、感情的な影響を受けやすい反面、感情を普通の人よりも深く味わうことができる、といえるでしょう。

1-4. HSP を性格の特徴のひとつとしてとらえて自分らしい生き方を理解しよう
さて、こうやって見てみると、HSP とは性格の特徴のひとつにすぎないといえるではないでしょうか?
なぜなら、「内向性」と「神経質傾向」というのは、性格心理学の理論に基づくものだからです。
- 「とてもおおざっぱな人」や「とても誠実な人」がいるのと同じように、「とても繊細な人」がいる
こんな風に考えることができます。
ただし、「繊細すぎて日常生活に支障があるとき」は、HSP ではないかもしれません。
この点については、あとで説明します。
まずはあなたも、心理学に基づいた性格診断をしてみませんか?
ビッグファイブという理論にもとづく性格診断では、その人の生き方をある程度までは予測できる、そんな研究もあります。
性格診断については、下記の記事を参考にしてください。

1-5. HSP 的な症状を正しく理解して自分の生き方の方向性を見つけよう
性格について、もう少し詳しくみてみましょう。
例えば、HSP でよくいわれる「繊細さ」。
実は誰でもが、繊細で神経質な特徴を持っています。
また特定の状況によって、繊細さや神経質さが現れる人もいます。
例えば、異性が苦手な人は、異性の存在や関係に神経質になりがち、といったように……。
逆に、HSP だからといって、いつも「繊細すぎる」わけではありません。
こうやって見てみると、HSP は病気ではないということがわかると思います。
が、注意も必要です。
発達障害や愛着障害、睡眠不足や過労などによっても、HSP 的な症状が現れることがあるからです。
これは専門的には「過敏性」と呼ぶそうです。
過敏性から HSP 的な傾向について調べたい場合は、下記の記事を参考にしてください。
繊細すぎて日常生活に支障がでているときは・・
「繊細すぎて日常生活に支障がある」
そんな方もいらっしゃるかもしれません。
それはもしかしたら、HSP というよりも、いわゆる「不安神経症」などが当てはまるかもしれません。
このあたりの判断は難しいところなので、専門医などに相談すべきだと考えます。
というのも実は、HSP という考えかたそれ自体にデメリットもあるからです。
例えば、
- 本当は病気なのに、「自分は HSP だから」という安易な判断がそれを邪魔してしまったり
- 「私は繊細だから」と考えすぎて、自分の可能性を限定してしまったり
などです。
あなたはどうでしょうか?
単なる性格的な特徴として繊細さを持ちあわせているのならば、そこに向きあってみましょう。
そうすることで、より自分らしい生き方を実現できるチャンスが開けていくはずです。
もし治療が必要な症状であるならば、まずはきちんと診てもらうことが大切になるでしょう。

1-6. HSP の才能と生き方
HSP は才能である、という方もいらっしゃいます。
たしかに、HSP の特徴である内向性や神経質傾向は、ひとつの才能なのかもしれません。
しかし、真面目さや協調性なども、同じくひとつの才能だといえるでしょう。
どんな性格にも、メリットもあれば、デメリットもありますので、
- HSP にはメリットもあるしデメリットもある。でもそれは、他のいろいろな個性を持っている人も同じ
と考えておくとよいでしょう。
HSP だから、というよりも、あなた個人が持っている強みを見つけていくべきです。
そのためには、自分を知ることが近道です。
自分を知ることで、これからの生き方にもよい影響を与えることができるからです。
下記の記事を参考にしてみてください。

HSP だからこそ自分らしい生き方について考えよう
「HSP という言葉を知ることで、自分の繊細さを肯定することできてホッとした」
そんな方もいらっしゃるようです。
しかし、
「自分は HSP かもしれない。でもだからといって、具体的にどうしたらいいんだろう?」
そんな風に困ってしまっている方も、意外と多いのではないでしょうか。
2-1. HSP が他人と一緒に生きていくのは大変?
私も、そうでした。
例えば、
子育て中の、子どもの泣き声とどう付きあっていけばよいか?
ものすごくおおざっぱな相手と一緒に暮らしていくには、どうすればいい?
など。
- HSP という考えかたにとらわれすぎず、より広く、深く自分を知ること
これによって、より楽に、自分らしい生き方ができるようになれました。
これからは、ひとりひとりが、「どのように生きていくか?」という、「生き方」について考える時代がでてきます。
生きづらさを抱えがちな HSP だからこそ、自分らしい生き方について積極的に考えてみる。
そんな風に考えてみてください。

2-2. HSP だからこそ積極的に自分らしい生き方を実現していこう
例えば私は、30歳のときに独立をしました。
どうしても、会社組織で生きていくことが苦手だったからです。
現在は、自宅でひとりで仕事をしています。
働く環境を整えること。
これは HSP にとっては、生きていくうえでも重要なポイントです。
では、HSP が自分らしい生き方を実現していくためには、具体的にはどうすればよいでしょうか?
次の章で、詳しくみていきましょう。

HSP が理想の生き方を見つけるための3つのポイント
ここまでの内容を踏まえて、HSP が自分らしい生き方を見つけ、実現していくためのポイントを3つ、紹介します。
3-1. HSP のネガティブと思われている特徴を活用してみよう
新型コロナウイルスの影響で、外出が制限されることが多くなりました。
しかし HSP にとっては、
「実は以前と生活は変わらない」
そんな人も、意外と多いのではないでしょうか?
コロナ以前のことを思いだしてみましょう。
ずっと自宅で過ごしていることには、「引きこもり」といったネガティブなイメージがありました。
しかしいまは、「ステイホーム」という、ちょっとおしゃれな言葉になっています。
逆に、外出する人が非難されてしまう風潮すらあります。
つまり、
- これまでネガティブだと思われていたことも、時代が変わったり、見かたを変えることでポジティブに変化する
ということです。
繊細、内気、よそよそしいといった HSP 的な特徴も、時代が変わることで、ポジティブなイメージに変化する可能性があります。
もっといえば、自分で自分に対する価値観を変えることで、デメリットをメリットに変えることもできます。
なぜならば、私たちが持っている性格には、無駄なものはないはずだからです。
ネガティブな感情にも価値があることを知る
そこで、自分自身に対する見かたを変えるために、心理学者アルバート・エリスによる「不健全な思い込み」を紹介しましょう。
- 成功して称賛を得なければ、周囲に受けいれてもらえない
- 人間は「正しいこと」をするべきで、そうでなければダメな人間だ
- 人生は安楽であるべきで、不快さや不便さはあってはならない
このような思い込みにとらわれている人って、意外と多いのではないでしょうか?
つまり、
- 楽天的・明るい → 良い
- 悲観的・暗い → 良くない
というわけではありませんし、また
- 幸せ・楽しい・嬉しい → 良い
- 不幸せ・つまらない・寂しい → 悪い
というわけでもありません。
もしあなたが「自分の繊細さが辛い」と感じているならば、それを客観的に見つめる習慣をつけてみましょう。
ネガティブな感情を客観的に見つめることで、
- 失敗を避ける
- 成長の糧になる
- 充実感を得る
などのメリットを得ることができるということに、気づけることでしょう。
ネガティブについてジャーナリングしてみる
ネガティブな感情を客観的に見つめるためには、「いったん紙に書きだす」ことが効果的です。
ジャーナリングのスキルを身につけることは、HSP にとってもよいことだといえるでしょう。
マインドフルネスで自分を見つめる
ジャーナリングは、「書く瞑想」と呼ばれることがありますが、「マインドフルネス」と呼ばれる実際の瞑想もおすすめです。

3-2. 生き方の価値観を見きわめよう
よりよい生き方のためには、自分が大切にしたい価値観をはっきりさせることが重要です。
HSP に限ったことではありませんが、価値観というのは、あなたの人生における判断や選択に影響を与えます。
例えば、「調和」という価値観を大切にしている人は、本人がそれを意識しているかどうかに関わらず、他人との調和を大切にするような行動を選択しがちです。
だからこそ、自分が大切にしたい価値観を、はっきりさせてみましょう。
自分が大切にしたい価値観をはっきりさせることで
- 人生の分かれ道で迷うことが少なくなる
- 人生で後悔しない選択ができるようになる
といったメリットを得ることができるようになります。
1) 価値観のリストをチェックしてみよう
下記リストは、シャローム・シュワルツという人が考えた「10の価値観」のリストです。
発表後も多くの研究によって「いいね!」されている、信頼価値の高いリストといわれています。
2) あなたが大切にしたいと感じる価値観を見つけてみよう
上のリストを見て、大切にしたいと感じる価値観を見つけてみましょう。
いくつ選ぶかは自由です。
例えば私なら、「自律・博愛・善行」という感じでしょうか。
もしもわかりにくい場合は、こういう価値を大切にできる自分でありたいと思えるものを選んでみましょう。

3-3. 理想の未来、理想の生き方を書きだそう
HSP として生きていくうえでまずポイントになるのは、
- 刺激をコントロールすること
だと思います。
普段の生活、そして人生において、自分が受けとる刺激をコントロールできるようになれば、HSP の生活はずいぶんと豊かなものに変化するはずです。
ただし、「自分の繊細さにどうやって対応していけばよいか」ということばかりを考えていると、日々の生活が受身的になりすぎてしまいます。
だからこそ、積極的に自らの理想とする生き方について、考えてみましょう。
刺激をうまくコントロールしながら、やりたいことも叶えていく。
5年後、10年後……といった間隔で、理想の人生について書きだしてみるとよいでしょう。
さらに詳しく知りたい場合は、下記の記事を参考にしてみてください。
HSP が刺激をコントロールすること
刺激をコントロールするというのは、ひたすら部屋に閉じこもる、というような意味ではありません。
部屋に閉じこもるのは、刺激を避けることです。
コントロールすることとはちょっとちがいますよね。
HSP にとっても、心地よい刺激というものはあります。
自然にかこまれた環境や、クラシックなどの演奏会、居心地のよいカフェなど……
あなたにとって、心地よい刺激はどんなものですか?
苦痛となる刺激を避けながら、よい刺激を得ることを考えてみましょう。
これからの働き方について知る
先ほどもお伝えしましたが、私は自宅で仕事をしています。
刺激をコントロールしつつ、ある程度の時間的な自由を得ることができています。
HSP が生き方について考えるうえで、仕事との付きあいかたは大きなウェイトを占めます。
そこで、これからの働きかたについても、考えてみましょう。
というのは、HSP であっても、これからは副業を持ったり、転職することも多くなるからです。
独立して自立できるチャンスも、増えてくることでしょう。
いまの仕事や職場環境について、現状や将来性を客観的に見つめなおしてみましょう。
そのうえで、将来的には「理想の職場、理想の仕事を創造する」ことについても考えてみるとよいでしょう。
人生をデザインする方法を知る
自分らしい生き方を実現させていくためには、いわゆる「人生設計」について知っておくことも役立ちます。
この機会に、どのような人生を送りたいかについても考えてみましょう。

まとめ:HSP と生き方
もしあなたご自身が、H SP として生きづらさを抱えていらっしゃるならば、まずはその原因を見きわめてみましょう。
- 繊細すぎる
- 神経質すぎる
- 内気
- ものごとを悪い方に考えてしまう
これらは実は、見かたを変えることで、メリットにもなり得ます。
そのために、HSP だけではなく全体的な自分の性格についても理解してみましょう。
そのうえで、人生を生きていく上で大切にしたい価値観をはっきりさせて、自分らしい人生をデザインしてみましょう。
自分らしい生き方を実現する一歩を踏み出せると思います。