人生を変えたいのならば、どんなことでもかまいません。
好きなことを楽しみながら続けていくだけで大丈夫です。
しかし、目的をもって、よりよい方向へ人生を変えたいと考えるならば、人生についての基本的な知識をおさえておく必要があります。
今回はその基本となる「倫理」と「家庭科」について説明します。
なぜ、倫理と家庭科なのか?

倫理と家庭科は、あなたの人生に役立つ教科です。
もちろん、国語や数学、歴史なども(真面目にやれば)あなたの人生に役立つはずです。
しかし実は、いわゆる「副教科」と呼ばれる家庭科や芸術などは、より直接的に、あなたの人生や生活を豊かにしてくれるのです。
本来、勉強は入試のためだけにするものではありません。「人がより豊かに生きてゆくため」にするものです。社会に出てからも、また高齢になっても、勉強は続きます。
正しいパンツのたたみ方――新しい家庭科勉強法
倫理や家庭科は、学ぶことにより、あなたがより豊かに生きていくためのプラスになりやすい教科だといえるでしょう。
というわけでまずは、
- 倫理とはなにか
- 家庭科とはなにか
についてわかりやすく説明します。

倫理とは
ここでいう倫理とは、高校で習う「倫理」のことです。
倫理という言葉には、どのような意味があると思いますか?
例えば、「倫理観」とか「倫理にもとる行為」といった表現があるように、「人としてやってはいけないこと、人間生活の秩序」というようなイメージがあるかもしれません。
転じて教科としての倫理では「どう生きるか?」について学んでいきます。
倫理は私たちが他者とともに、人間らしく生きるための道筋を示すものといえます。私たちはこのような人として歩むべき道筋を過去の人びとから受け継ぎながら、未来の新しい時代に即した人間の生き方を探求しなければなりません。
もういちど読む山川倫理
しかしこれを読むだけでは、「哲学とどう違うの?」と疑問に思うかもしれません。
倫理と哲学の違いについて
そこで、倫理と哲学の違いについて。
実は倫理とは哲学の一部ということができます。そして、哲学の中でも特に実践的な分野を倫理と呼ぶそうです。
エシカルについて
最近、「エシカル」という言葉を聞いたことはないでしょうか?
参考:エシカルとは? 未来の暮らしを豊かに生きる基本をわかりやすく解説
- エシカル消費
- エシカルファッション
- エシカル企業
実はエシカルというのは、「ethical」のことで「倫理的」という意味です。
エシカル=ethical=倫理的
ここから派生して、カタカナの「エシカル」という言葉には、「人や社会、環境に配慮した」というような意味があるそうです。
- 人や社会、環境に配慮した消費活動
- 人や社会、環境に配慮したファッション
- 人や社会、環境に配慮した企業
といった感じでしょうか。
エシカル消費について
ここで、「エシカル消費」という言葉について考えてみましょう。
海外では、「エシカル消費」という考えかた・活動は、1989年頃からあったようです。
日本でも最近、注目されるようになってきました。
消費者庁による「倫理的消費」調査研究会が開催されるようにもなっていたり、「エシカル消費協会」という協会ができていたりもします。
参考:「倫理的消費」調査研究会 / 一般社団法人エシカル消費協会
なぜ、エシカル消費なのか
なぜ、エシカル消費が注目されているのか?
実はこれは、人権や地域社会、環境などの問題について、消費者である私たちの行動なくしては解決できないような課題がでてきている、というところにその必要性があるようです。
例えば地球温暖化などがそのひとつといえますが、この問題は私たちひとり一人が、地球環境を考えた消費活動をしていかないと、もうヤバいことになるよ、というイメージ。(ものすごく大雑把ですみません)
倫理を学ぶ意義
このように、私たちが倫理について学ぶということは、私たちが「どのように生きるか?」ということだけではなく、地球環境について考えるきっかけを与えてもくれます。
ですから、私たちが倫理について考えることは、ある意味では、これからの時代に必要なものでもあるといえるでしょう。

家庭科とは
次に、家庭科について。
家庭科というと、調理実習や縫いもの、というイメージが強いかもしれません。
私も授業で巾着袋を作らされました。どうしても縫いものができなくて、セロテープでとめて提出してしまった覚えがあります。
この家庭科ですが、男女必修化は1993年頃のこと。
ですから、「そもそも家庭科なんてやってない」という男性もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、家庭科とは英語で「Home economics」というように、調理実習や縫いものだけではありません。
衣食住に関する知識や、お金について、人の一生についてなど、生まれてから死ぬまでの人の生活についての知識を学ぶことができるのです。
家庭科と家政学
実は、「Home economics」という単語は、「家政学」と訳すこともできます。
では家庭科と家政学は、どう違うのか?
上記のページによれば、家政学部には「服飾・被服学科」「食物学科」「住居学科」「児童学科」といった学科があるそうです。
小・中・高で学ぶ家庭科について、より広く、また専門的に学ぶことができるのが「家政学」といえるのではないでしょうか?
家庭科を学ぶ意義
さて、先に紹介した倫理が「人生とは」について考えることのできる科目ならば、家庭科は「生活とは」について考えることのできる科目。
食生活や住環境、家族関係やお金など、家庭科によって生活力をアップさせることができる、といっても言いすぎではないでしょう。
家庭科と女性活躍
特に、2016年に女性活躍推進法が施行されてからは、家事や育児という無償労働に男性が携わることが当たり前、という認識ができつつあります。
もちろん仕事との両立など、いろいろな大変さはあるでしょう。
しかしだからこそ、男性が家庭科の知識を身につけておけば、日々の生活が楽になるし、より豊かで充実した家庭を築くことができる可能性が高まる、と感じています。
女性活躍については、また機会あれば述べていきたいと思いますが、
この本を夫婦、また恋人と一緒に読むことができると、家庭円満の手助けになるかもしれません。(個人的には、とてもおすすめの一冊です)

人生は倫理で、生活は家庭科で学ぶ
人生には、生活的な視点と人生的な視点があります。
詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
生活とは?
生活とは、家計を管理し、衣食住を整えていく、私たちの普段の生活のことです。
人生とは?
人生とは、私たちが普段、何気なく過ごしている生活の奥に潜んでいて、それは、ふとしたときに顔をあらわします。例えば、パートナーが大病を患ったとか、突然、勤めていた会社が倒産したとか、そんなようなときだと考えてください。
この人生のふたつの側面について、生活視点でみるならば、家庭科の知識が、人生視点でみるならば、倫理の知識(をもとにした自分の考え)が応用できるでしょう。
というわけで、ちょっと具体的に考えてみましょう。
自立した生活
まず、生活視点でみてみましょう。
個人の生活における自立には、4つの分野があるといいます。
自立、できてますか?
生活的自立 | 自分で自分の生活を整えることができる力 |
精神的自立 | ものごとの最終判断を自分で下し、それに責任が持てる力 |
経済的自立 | 収入に応じて支出するなど、見通しをもった生活が営める力 |
性的自立 | 各自が自分の「性」を享受できた状態 |
あなたはこれらの4つの分野について、きちんと自立できている、といえるでしょうか?
夫婦や恋人たちの依存
例えば夫婦関係において、生活的自立を妻に依存してしまっている男性は、意外と多く存在します。
生活的自立は、主に夫側に求められていることである。炊事、洗濯など家庭での役割を妻に任せてきた男性にとって、生活面で自立できていない弊害がはっきりと現れるのは、自身の定年退職時や、妻が「卒母」を宣言して新たな人生に踏みだした時だ。
夫婦幻想
さらに、将来的な展望についても考えてみましょう。
老後の自立について
例えば以前、トヨタの社長が「終身雇用は難しい」と発言して話題になりました。
また年老いたときに、健康的な理由から、生活的自立が脅かされる可能性も否定できません。
これらはいずれも、「もしも」の可能性の話にすぎません。
ですから、過度にネガティブになる必要はないでしょう。
ただし生活には、生活をつくりあげていく構築的な側面と、それを守る保守的な側面があります。
これを理解し、考慮しておくことが大切です。
人生の生きがい
次に、人生視点で考えてみましょう。
ここではひとつの例として「生きがい」について考えてみます。
生きがいは自分が生きていることを実感すること、人生の手応え、反響である。それは、ただまわりの世界に適応して「うまく生きる」だけでは得られない。
もういちど読む山川倫理
生活的な視点でいえば、まわりの世界に適応して「うまく生きよう」とすることは、決して悪いことではないでしょう。
しかし、大切なのはそのバランスで、単にうまく生きようとしているだけでは、人生は虚しいものとなってしまいます。
自分が生きる意味や目的を探しもとめ、情熱を注ぐ対象をみつける。
そしてその手応えを感じながら「よりよく生きよう」とすることこそが、生きがいへと繋がっていくのではないでしょうか。
人生と生活のバランス
ここまでの話をまとめてみましょう。
- 生活視点:生活的自立・精神的自立・経済的自立・性的自立の4つの分野での自立をめざしていく
- 人生視点:うまく生きようとするだけでなく、生きる意味や目的を探しもとめ、よりよく生きよう情熱を注ぐこと
これはひとつの例にすぎません。
しかし、このふたつのバランスをとっていくことが、より充実した人生を過ごすうえで大切である、と考えることができるのではないでしょうか?

人生を変えるときに気をつけるべきこと
人生を変えたいと本気で考えるならば、生活視点と人生視点、ふたつのバランスから考えてみることを、はじめてみましょう。
インターネットだけでなく、書籍もそうなのですが、人生視点か生活視点、どちらかに偏ってしまっているものが、とても多いです。
もちろんその中には、素晴らしい内容のものもたくさんあります。
しかしもっと大切なのは、バランスです。
人生と生活のバランスについて考えていけば、本当の意味で人生を変えることができるはずです。
なお、本当に人生が変わったかどうかを確認する方法については、また別の機会にお伝えします。
楽しみにしていてください。

まとめ:人生を変える、倫理と家庭科
人生を変えるにはどうしたらいいか?
世の中には、行動をすることの大切さ、自分を振り返り、何を望んでいるかをはっきりさせることの大切さなど、その他にもさまざまな方法が紹介されています。
しかし、くり返しになりますが、「そもそも何のために・どういう方向へ変えるのか?」という視点がなければ、それは目を閉じたまま、全速力でダッシュするようなものです。
それでも人生は変わるとは思います。
しかし、あまり意味のない変化かもしれません。
危険な場合もあるでしょう。
もし本当の意味で人生を変えたいと願うなら、ぜひこの記事の内容を参考にしてみてください。
そして、あなた自身の「人生」と「生活」を見つめなおすために、倫理と家庭科について学んでみてください。
もちろんこのブログでも、引きつづき役に立つ情報をお伝えしていきます。