エシカルについて正しく知ろう

「エシカル」という言葉があります。

コマーシャルで聞いたことがあるかもしれません。

実は、エシカルという言葉は、あなた自身の生きかたにも関係しているのです。

この記事では、

  • エシカルとは何か?
  • エシカル消費などの取り組みについて

わかりやすくお伝えしていきます。

エシカルとは?

エシカルとはどういう意味でしょうか?

  • Ethical(エシカル):倫理的な

ここから派生して、「人や社会、環境に配慮した」という意味で使われています。

「エシカル消費」という言葉があります。

これは、「人や社会、環境に配慮した消費(行動)」という意味になります。

エシカル消費のイメージ

エシカル消費とは

エシカル消費とは、具体的にどのような消費行動でしょうか?

はじまりは、1980年代後半にイギリスで創刊された「エシカルコンシューマー」という専門誌によるものとされています。

環境問題が世界共通の課題になるにつれて、日本でも注目されるようになりました。

エシカル消費の意味や意義

エシカル消費への関心が高まっている理由には、おおきくわけて「人・社会・環境」という3つの要因があります。

  1. ヒト:発展途上国の労働者の生活改善
  2. 社会:地方経済の活性化・被災地の復興
  3. 環境:地球温暖化・熱帯雨林の伐採

ざっくりひとことでいえば、物質的な豊かさを追求しすぎた結果、さまざまなところに悪い影響がでてきてしまっているのです。

いまの地球を人間の身体に例えるならば、遊びすぎ、働きすぎで病気にかかってしまっている状態です。

エシカルって必要なこと?

もしあなたが20代だとするならば、あと70年くらいは生きるかもしれません。

お子さんがいらっしゃるならば、その子は22世紀を生きる可能性もあります。

「このままだと未来の地球はヤバいことになるよ! いまから気をつけないと!」というのが、エシカル消費に取り組む本当の意味だといえるでしょう。

地球環境のイメージ

エシカル消費の事例はファッション・ジュエリー・フード・コスメなど

エシカル商品とは基本的に、環境への影響や生産者の労働環境に配慮して製造された商品のことをいいます。

具体的な事例をみてみましょう。

1)エシカルファッション

エシカルファッションのイメージ

エシカルファッションとは、エシカルな服飾製品をファッションとして身につける行為のことをいいます。

2013年にバングラデシュの縫製工場「ラナ・プラザ」が倒壊し、労働者など千人以上の方がなくなった事故をきっかけに関心が高まりました。

現在ではさまざまな企業がエシカルファッションへの取り組みを行っています。

2)エシカルジュエリー

エシカルジュエリーのイメージ

「紛争ダイヤモンド」という言葉があります。

内戦が勃発している国・地域において、反政府組織がその資金源として宝石を扱っていることがあります。

このような過程を経て製造されたジュエリーを購入してしまうことは、紛争の長期化・深刻化を助長してしまいかねません。

このような経緯から、ジュエリーにもエシカルな概念が導入されました。

はっきりとした定義はありませんが、紛争ダイヤモンドを使用しないこと、児童労働や不当労働によって製造されたジュエリーでないものを「エシカルジュエリー」と呼ぶことが多いようです。

3)エシカルフード(エシカル食品)

エシカルフードのイメージ

コンビニや飲食店などで、まだ食べられるのに食品を捨ててしまう問題を「食品ロス(フードロス)」といいます。

エシカルフードとは、フードロス問題を解決するための食品を開発したり、フードロス問題を解決するための活動のことをいいます。

4)エシカルコスメ(エシカル化粧品)

エシカルコスメのイメージ

科学的な成分を使用しない化粧品は、肌にやさしく、また環境にも優しいといわれています。

またプラスチックパッケージを廃止することにより、環境に配慮するブランドもあります。

エシカル消費とフェアトレードの違い

エシカル消費とフェアトレードはどのような違いがあるでしょうか?

フェアトレードというのは、ひとことでいえば「開発途上国の労働者の生活改善を目指す取り組み」のことです。

つまり、フェアトレードはエシカル消費の取り組みのひとつといえます。

エシカル消費のデメリットと課題

エシカルという言葉は、認知度がそれほど高いわけではありません。

しかし言葉自体を知らなくても、私たち消費者の意識としては「どちらかといえば、環境にやさしくて、生産者にもやさしい商品を購入したい」という気持ちがあります。

企業としてもブランドイメージの向上につながるという観点から、エシカルに取り組むところもあるようです。

現状では、下記のような課題が認識されています。

消費者として

「エシカルっていうけど、単に言葉だけの商品が多いんじゃないの? 本当にエシカルかどうかをどうやって見分ければいいの?」

企業として

「エシカルに取り組めばブランドイメージも向上するというけれど、思った以上にコストがかかる……」

よりよい意味でエシカル消費の認知度を高めていくためには、このあたりの課題を克服していくことが大切になってくるでしょう。

エシカルヴィーガンのイメージ

レジ袋の有料化・バナナ・ヴィーガンなどのエシカルな取り組みについて

エシカル消費だけではない、その他のエシカルな取り組みについて紹介します。

レジ袋有料化

2020年7月1日よりレジ袋の有料化がスタートしました。

レジ袋の原材料であるプラスチックは、海洋プラスチックごみや地球温暖化の原因であるとされています。

レジ袋を有料化することによって、環境へ配慮する意識を高めると同時に、プラスチックの使いすぎを抑制するという意味があります。

エシカルバナナ・キャンペーン

エシカルバナナ・キャンペーンというものもあります。

これは、低賃金かつ劣悪な労働環境で生産されているバナナを少しでも適正なものにしていこう! という主旨のもとにはじめられたキャンペーンです。

エシカル・ヴィーガン

まず「ヴィーガン」とは、「完全菜食」という意味だと考えてください。

ベジタリアンをさらに厳しくしたイメージです。

卵や牛乳、はちみつなども食べません。

エシカル・ヴィーガンとは、この考えかたを衣食住すべてに反映させている人たちのことをいいます。

生活全般において、動物由来の素材を使わずに生活する、ということですね。

欧米では環境問題への関心の高まりから、エシカル・ヴィーガンが増えているともいわれています。

エシカルな生きかたのイメージ

必要性が高まってきているエシカルな生きかたとは?

実は、エシカル(倫理的)であることは、私たちの生きかたにも関わってくるのです。

私たちは、物質面では便利で豊かになりました。

しかし、心の豊かさは失われつつあります。

エシカルな(倫理的な)生きかたが求められているのです。

これからは心の豊かさか、まだ物の豊かさか

「これからは心の豊かさか、まだ物の豊かさか」について、時系列でみてみましょう。

これからは心の豊かさか、まだ物の豊かさか
  • 橙:これからは心の豊かさ
  • 緑:まだ物の豊かさ

昭和50年頃から、「生活においてこれからは心の豊かさを重視したい」という人が増えてきているのです。

次のグラフは、日常生活の悩みや不安について時系列でまとめたものです。

日常生活での悩みや不安(時系列)
  • 青:不安を感じている
  • 緑:不安を感じていない

調査が開始された昭和56年に比べて、日常生活で悩みや不安を抱えている人は増えていることがわかります。

生活は豊かで便利になったけど心の豊かさはまだまだ得られていない

あくまでもこの2つの調査をもとにした考えになりますが、

  • これからは心の豊かさが必要と考えている人が増えている
  • しかし同時に、悩みや不安を感じている人も増えている

心の豊かさを求めているにも関わらず、悩みや不安が増えている、そんな状況がずっと続いているのです。

物の豊かさのイメージ

物の豊かさと心の豊かさは比例しているか?

では、物の豊かさと心の豊かさは比例しているでしょうか?

2002年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者・心理学者のダニエル・カーネマンによれば、年収7万5000ドルまでは、物と心の豊かさは比例して増えていくそうです。

アメリカの平均年収約5万2000ドル
日本の平均年収約420万円

年収630万円を超えると物の豊かさと心の豊かさは比例しなくなる?

計算すると、平均年収の約1.45倍くらいまでは、幸福度が高まっていく計算になります。

日本の年収で考えると、約630万円

それを超えると、収入が増えることによる満足度は持続せず、心の豊かさとも比例しなくなっていくといえます。

「ファスト&スロー」というカーネマンの著した書籍によれば、物価の低い地域ではこの金額はもっと少なくなるだろうとのことです。
 
ただしこれは調査の結果、得られたデータに基づく計算にすぎません。目安として考えてください。

物の豊かさを追い求めるデメリット

物の豊かさを追い求めすぎることにはデメリットもあります。

「もっと稼ぎたい、もっとカネが欲しい」という欲求に逆らえず、本来得られるはずの心の豊かさを失っている可能性があるからです。

私たちは、経済的な豊かさを追求しすぎるあまり、自ら悩みを生みだし、心の豊かさを失っているともいえるのです。

エシカルな生きかたのイメージ

エシカルに生きるとは、よりよく生きることについて考え実践していくこと

エシカルという言葉には、もともと「倫理的」という意味があります。

倫理という教科では「どう生きるか?」について学んでいきいます。

倫理的に生きる、つまりエシカルに生きるということ。

それは、私たちひとりひとりが、地球の環境や社会に目配せをしつつ、自らの人生をよりよく生きていくということでもあるのです。

あなた自身の内面的な豊かさを享受するためにも、エシカルな生きかたについて考えてみてはいかがでしょうか?

私はこれからの時代は、

  • より充実した人生を送るにはどうしたらよいか?

ということについて、ひとりひとりが自分で考えて、取り組んでいく必要があると考えています。

よりよく生きるためにはライフデザイン(人生設計)の知識が不可欠

よりよく生きるということについて考えるとき、ライフデザインについて知ることがはじめの一歩となります。

参考にしてみてください。

まとめ:エシカルとは?未来の暮らしを豊かに生きる基本をわかりやすく解説

エシカルとは:

  • エシカルとはもともと「倫理的な」という意味
  • 最近は「人や社会、環境に配慮した」という意味で使われている

エシカル消費とは:

  • エシカル消費とは、人や社会、環境に配慮した消費行動のこと
  • ファッション・ジュエリー・フード・コスメなどさまざまなものがある

エシカルな取り組みとは:

  • レジ袋の有料化・エシカルバナナキャンペーン・エシカルヴィーガンなど、エシカル消費以外にもさまざまな取り組みがある

エシカルな生きかたの必要性:

  • 物質的な豊かさを追求しすぎることは、心の豊かさを失う原因となる
  • 心の豊かさを享受することのできるエシカルな(倫理的な)生きかたの必要性が高まってきている

参考書籍

この記事を書いた人

宇田川 雄士

あなたの人生におだやかな悟りと成功をもたらす整理法「頭とこころの整理法(EJ)」の考案者です。
 
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