最近、「複業」という言葉をよく聞くようになりました。

これは本業に対する「副」業ではなく、複数の仕事をするという意味での「複業」で、「マルチプル・ワーカー」ともいうそうです。

とはいえ実際に複業に取り組むには、どうしたらよいでしょうか?

副業との違いなども含めて、ちょっと考えてみましょう。

副業を希望する人は増えている

まずは、本業に対する副業について見てみましょう。

下記の記事によると、副業を希望する人はかなり増えている様子。

これにはいろいろな要因があるようです。

例えば、

  • 終身雇用・年功序列制が壊れつつある
  • 「人生100年時代」と呼ばれる、高寿命化による働きかた、ライフスタイルの変化
  • インターネットや関連技術の発展により、場所や時間にとらわれずに働けるようになった

などが考えられるそうです。

そしてそのような中、ひとつの会社に自分の人生をまかせることにリスクを感じる人も増えてきているのかもしれません。

ドラッカーは、次のように述べたそうです。

個人の寿命が企業の寿命より長くなった今、人は組織のみに頼らず、それとは別に第二のキャリアを並行して始め、新しい世界を切り開いていくべき

明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命

この「明日を支配するもの」という本は、20年も前の本です。

ですが、いよいよその言葉が実現しつつある時代になってきた、ともいえるのではないでしょうか?

仕事と時給の関係

本業に対する副業というものは、本業の収入が少ないために、メインに対するサブ(副)として仕事を増やす、という側面があります。

ここで副業についてのひとつの例えとして、収入面では主に3種類の仕事があるのだとか。

時給900円の仕事

自分の身体を使って正社員をサポートするような仕事に多い。

例えばコンビニ、外食、清掃業、警備員などでしょうか。

いいかえれば、誰にでもできる、誰でも代わりをつとめられる仕事、といえそうです。

時給9,000円の仕事

例えば司法書士、ピアノ調律師などの、いわゆる「手に職」系の仕事です。

専門知識と技術を学び、実務経験も必要になってきます。

そのような意味では、代わりはいるけど、しかるべき知識と技術を保有した人でないとできない仕事、とでもいえばよいでしょうか。

時給90,000円の仕事

これは例えば、一流の弁護士であるとか、名医の執刀など、プロフェッショナルの仕事です。

当然、専門知識や技術、実務経験も豊富ですが、その中でもより優れている人でないとできない仕事、といえるでしょう。

なお当然ですが、ここでの「時給900円/9,000円/90,000円」というのは、あくまでも例えであって、司法書士の時給が9,000円である、というわけではありません。

ポイントは、「あなたの代わりがいるかいないか?」によって収入が変わってくる、ということです。

そのような意味で、実は「時給90万円の仕事」というものもありまして……これは、他に代わりのいない仕事。例えば人気のある有名ミュージシャンのコンサートなどのことをいうそうです。

副業と複業のちがい

では、副業と、複業のちがいについて、どのように考えればよいでしょうか?

例えば副業をはじめた動機について調べてみると、「本業の収入が少ないから」というものが最も多いそうです。

これに対して複業というものは、自分のキャリアプランについて主体的に考えて、そのための仕事をしていこう、というようなイメージになるでしょうか。

いろいろな理由があると思いますが、

  • 高寿命化や100年時代の到来による働きかたの変化
  • AI などの技術の進展

といった変化に対してうまく適応していくためには、もはや会社まかせではいられない、自分で考えていかなくちゃ、というところからきているように感じます。

好きなこと、自己実現できることを仕事にすればいいのか

……というわけで複業については、例えば、

  • 自己完結的に仕事をしてみることにより、起業プロセスやキャッシュ・マネジメントなどのスキルを身につけたり
  • いわゆる学び直しによる資格取得を第一段階の目標としてみたり

といった方向性で考えていくことがポイントになるでしょう。

このあたりについて、ざっくりと「好きなことをやって自己実現」みたいな表現もあるようです。

ですが私の個人的な考えとしては、好きなことであればベストだけど、嫌いなことじゃなければそれでいい、という感じ。

もっと大切なのは適性があることで、つまり自分に向いていて、得意な仕事でないといけません。

この条件をクリアできていれば、特に好きじゃなくても、嫌いじゃなければ充分でしょう。(もちろんそれが、好きな仕事ならベストだと思います)

時給9,000円の仕事をめざそう

というわけで複業についての個人的な提案としては、とりあえず「時給9,000円の仕事」をめざしてみよう!

ということ。

あなたにとって適正のある分野(仕事)で、スペシャリストをめざしていきましょう。

時給900円の仕事では厳しいし、時給90,000円の仕事は、まず時給9,000円の仕事ができるようになる必要があるはずです。

そして大切なのは、あなたのキャリアプラン、ひいては人生設計(ライフデザイン)についても考えてみる、ということではないでしょうか?

そこから、どのようなことを複業としてチャレンジしていくのか、というヒントも得られることと思います。

この記事を書いた人

宇田川 雄士

あなたの人生におだやかな悟りと成功をもたらす整理法「頭とこころの整理法(EJ)」の考案者です。
 
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