HSP のための適職とは?
とても繊細な人のことを「HSP(Highly Sensitive Person)」と呼ぶことがあります。
HSP は、普通の人にくらべて繊細すぎる傾向があります。
そのため、「仕事が疲れる」とか、「しんどい、辛い」と感じる人も多いようです。
実は私も、会社員として働いていたときは、人間関係や職場環境で苦労してきました。
そこでこの記事では、
- HSP に向いている仕事
- あなたならではの適職を診断する方法
- HSP のための仕事対策
についてわかりやすくお伝えしていきます。
HSPとは
HSP とは、心理学者エレイン・アーロンによって提唱された概念です。
HSP とは内向的で神経質傾向の高い人のこと
アーロン博士などによる最近の研究によりますと、HSPは性格的な特徴のひとつとしてとらえられるようになってきています。
- 内向性(外向性レベルが低い)
- 神経質傾向の高さ
- 感情反応性の高さ
これらの特徴によって、
- タンポポ(低レベル HSP)
- チューリップ(中レベル HSP)
- ラン(高レベル HSP)
に分類できるとされています。
性格から見るあなたの HSP 傾向
「内向性」と「神経質傾向」は、ビッグファイブ特性という心理学における性格分類の考えかたに基づいています。
ビッグファイブによる性格診断を受けることで、あなたの HSP 傾向も理解できます。
HSP かどうかを診断するには
いままで有名だった HSP の診断テストも紹介しておきましょう。
HSP の診断
アーロン博士の公式サイトにて、HSP のセルフテストを受けることができます。
HSP の診断テストは他にもありますが、実は、HSP というタイプの人間がいるわけではないのです。
HSP の特徴や傾向はグラデーションのようにその人に備わっており、血液型のようにはっきりとわけられるものではありません。
私自身は、HSP を性格の特徴としてとらえ、全体的な性格ついて理解することによって、生きづらさを解消するきっかけをつかむことができました。
HSP に対する理解を深める
HSP に対する理解を深めるために、HSP の代表的な特徴についても紹介しておきましょう。
HSP の特徴 DOES
アーロン博士が提唱した HSP の特徴として「DOES(ダズ)」というものがあります。
- 処理の深さ(Depth of processing)
- 刺激を受けやすい(Overstimulated)
- 感情的反応性・高度な共感性(Emotional reactivity and high Empathy)
- 些細な刺激に対する感受性(Sensitivity to Subtle stimuli)
HSP ではないけれど HSP のような症状が現れる場合
ただし、HSP ではないけれど、HSP 的な傾向があらわれることもあるので注意しましょう。
臨床的には「過敏症」と呼ぶそうです。
例えば、発達に障害を抱えている可能性のある人や、ショッキングなできごとによる心の傷などによっても、HSP 的な症状をみてとることができるのです。
HSP の診断テストや DOES にあてはまるからといって、「私は HSP」と単純に断定するのではなく、このようなことも含めて考えるようにしましょう。
HSP にとっての適職とは
HSP について理解できたところで、HSP に向いている仕事とはどんな仕事か? について考えてみましょう。
HSP とは一般的に、内向性レベルが高く、高い神経質傾向と感情反応性がある人のことをいいます。
ですから、そのような人でも取り組めるような仕事こそが、HSP に向いている仕事、といえるでしょう。
そこで仕事というものを、「職種・職場環境・人間関係」という3つの要素にわけて考えてみましょう。
職種からみる HSP に向いている仕事
職種としては、人と関わりあうことが少なくて自己完結できる仕事がおすすめです。
- 家具職人
- 重機オペレーター
- 農業
- ライター
- アーチスト
- レントゲン技師
- ウェブデザイナー
- プログラマー
- 漫画家
職場環境からみる HSP に向いている仕事
職場環境としては、例えば自然や動物と触れあうことができるような、刺激の少ない環境がおすすめです。
- ペット美容師
- 花屋の店員
- 動物園・水族館の飼育員
人間関係からみる HSP に向いている仕事
人間関係としては、人と関わりあうことが多いけれど、役に立てていることが実感できる仕事がおすすめです。
- セラピスト
- 心理療法士
- カウンセラー
- 整体師
- セラピスト
私も、セラピストとして独立をしました。
ただしこれらは、一例として考えてください。
大切なのは、職種・職場環境・人間関係を満たすような仕事を見つけるということです。
例えばあなたが「営業」という職種を選択したとします。
これは HSP に向いている職種ではないかもしれません。
しかし、職場環境や人間関係があなたにぴったりであれば、問題なく続けていけることもあります。
なお、HSP として起業することについては、以下の記事を参考にしてください。
そこで次に、あなたにとっての適職は? という観点から HSP の仕事について解説していきます。
HSP のための適職の探しかた
ここまで、「一般的に HSP に向いている仕事」を紹介してきました。
さらにあなたにぴったり向いている仕事を探すには、どうしたらよいでしょうか?
HSP は繊細なため、「どんな仕事でも大丈夫」というわけにはいかないことが多いです。
そこで、HSP としてのあなたに向いている仕事を見つけるには、次の2つの方向性から考えてみてください。
- 外的要因
- 内的要因
あなたの外の環境と、内側の環境。
これをできるだけ一致させる、ということです。
具体的な方法をお伝えします。
Step1. 外的要因から適職を探す
外的要因というのは、先ほど紹介した「職種・職場環境・人間関係」のことだと考えてください。

3つのエリアが重なるスポットが、HSP にとって向いている仕事と考えてください。
転職するとき、適職を探すときの参考にしてください。
1) 職種
- 人と関わりあうことが少ない仕事
- 自己完結(ひとりでできる)仕事
2) 職場環境
- 刺激の少ない環境(例えば、自然や動物と触れあうことができるなど)
3) 人間関係
- 相手の役に立てていると実感できる仕事
先ほど、HSP 向きの仕事の例を紹介しました。
それ以外の仕事でも、この3つの条件を満たすものであれば、あなたにとっての適職である、ということができるでしょう。
Step2. 内的要因から適職を探す
内的要因とは、「興味と関心・スキルと能力・あなたの個性」のことだと考えてください。

3つのエリアが重なるスポットが、あなたにとって向いている仕事と考えてください。
外的要因である「職種・職場環境・人間関係」の3つが適していたとしても、あなた自身の興味や関心がなかったり、スキルや能力が足りなかったりするならば、それはあなたにとっての適職とはいえません。
次のエクササイズを参考にして、あなたの興味やスキル、個性を見つけていってください。
なお以下のエクササイズについては、パソコンで取り組んでいただけるように、Google スプレッドシートを作ってあります。ぜひご活用ください。
1) 興味と関心を見つけるエクササイズ
あなたが関心を持っていることを見つけるために、いままでの人生の振り返りを行ってみましょう。
- いままでにやり遂げたこと、やってみて楽しかったことを書きだしてみてください。
- 仕事面だけでなく、人間関係・恋愛・趣味・勉強など、さまざまな分野について考えてみましょう。

イメージのように、年齢ごと・所属する組織ごとに分けて取り組んでみましょう。
2) スキルと能力を見つけるエクササイズ
- 下記のチェックリストをながめて、あなたがいままでにしたことがあること・好きなことにチェックをしてください。
- ぴったりと当てはまらなくても、近いなと思われるものをチェックしてください。
- チェックした項目を見なおして、「あなたが好きで得意な活動」を3~5個、リストアップしてみてください。

- 先ほど取り組んだ「関心を見つけるエクササイズ」の内容を参考にしてみてもよいでしょう。
3) 個性を見つけるエクササイズ
あなたの個性を知り、それをもとに「向いている職種」を見つけてみましょう。
このエクササイズは、「ホランドの職業選択理論」という理論に基づいています。
- 先ほどの「能力を見つけるエクササイズ」のチェックリストをもう一度、見てください。
- チェックした項目について、色分けごとにその数を集計してみてください。
- 下図を参考にして、色分けごとに点数をつけ、「向いている職種」を確認してみましょう。

この3つのエクササイズについては、パソコンで取り組んでいただけるように、Google スプレッドシートを作ってあります。ぜひご活用ください。
HSP の適職の見つけかたのまとめ
エクササイズはいかがでしたでしょうか?
- 職種・職場環境・人間関係の外的要因
- 興味と関心・スキルと能力・あなたの個性の内的要因
この2つの要素から、あなただけの適職を探してみてください。
HSP のための仕事対策
HSP は仕事上の悩みや大変さを抱えてしまうことが多いです。
刺激に敏感なため、疲れやすかったり、ストレスを感じやすかったりするためです。
その結果、「仕事がしんどい」とか「仕事が続かない」といった声もよく聞きます。
そこで、HSP のための仕事対策についてもご紹介しておきましょう。
HSP の仕事対策は3つの方法で行う
HSP の仕事対策には次の3つの方法を基本としてください。
- 刺激を減らす
- 刺激をコントロールする
- 刺激に対する抵抗力を高める
HSP は少数派のため、標準的な環境では刺激が強すぎることがあります。
HSP として刺激とどうつきあっていくか?
これがポイントです。
1. HSP が受けとる刺激を減らす対策
HSP が受けとる刺激を減らすには、外側からの刺激と内側からの刺激を区別して、それぞれに対処するようにしましょう。
- 外側からの刺激とは、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚に対する刺激のことをいいます
- 内側からの刺激とは、考えていることや感じていることをいいます
2. HSP が刺激をコントロールするための対策
HSP が刺激をコントロールするには、次の3つの方法があります。
- 刺激を予測する
- 刺激が限界を超えないように工夫する
- 刺激を避けることを考える
3. HSP が刺激に対する抵抗力を高める対策
HSP が刺激に対する抵抗力を高める方法には、個人差があるようです。
ここでは参考として3つの方法をご紹介します。
- 将来の希望について考え、書き留める
- マインドフルネス呼吸法を実践する
- 支えてくれる人、支えられる人を見つける

まとめ
HSP は内向的で神経質傾向が高いため、仕事においても些細な刺激によって疲れやすかったり、辛さを感じることがあります。
HSP に向いている仕事:
- 職種:人と関わりあうことが少なくて自己完結できる仕事
- 職場環境:刺激の少ない環境
- 人間関係:役に立てていることが実感できる仕事
あなたに向いている仕事:
- 興味と関心:あなたがいままでにやり遂げたこと、楽しかったことを振り返ってみよう
- スキルと能力:エクササイズを実践して、あなたのスキルと能力を見極めよう
- あなたの個性:「興味と関心」、「スキルと能力」から、あなたの個性を見極めよう
HSP の仕事対策:
- 刺激を減らす
- 刺激をコントロールする
- 刺激に対する抵抗力を高める