これからの働き方はどうなる?
2020年は、世界が新型コロナウイルスに翻弄された年となりました。
その影響は、2021年になっても続いています。
私たちの働き方も、大きく変化していくことになるでしょう。
個人でも「ビジネス感覚」を養っておくことが、これからの働き方のために大切になるのではないでしょうか?
というのも、これからは、「組織」から「個人」へとキャリアの中心が移っていくからです。
では、具体的にはどうすればよいでしょうか?
私自身、独立して約18年の間、自分の働き方について、常に試行錯誤をしてきました。
そこで得た知見を活かし、これからの働き方の3つのポイントとして
- 高齢まで働くことを視野にいれる
- 好きで得意を活かす
- 仕事人生のルートを決める
ことについて、わかりやすくお伝えしていきます。
この記事を読めば、これからの働きかたについての基本的な知識をゲットすることができるでしょう。

これからの働き方は男女区別なく70歳まで働くことに
私たちは、何歳まで働くことになるでしょうか?
この記事の執筆時点では、「70歳まで現役で働く」という話が進んでいます。
将来はどうでしょうか?
もしかしたら、75歳くらいまで働くことが普通になるかもしれません。

なぜこれからは、高齢者になるまで働き続けることになるの?
高齢者になるまで働きつづけなくてはいけないのはなぜでしょうか?
働く人が少なくなって困るからというのが、その答えのひとつです。
下記のグラフをみてください。
- 15歳~64歳のいわゆる「生産年齢人口」はどんどん減っていく
- かわりに高齢化率*は増えていく
*高齢化率とは、65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合のことです
少子高齢化により、働くことのできる人がどんどん減っていっています。
働く人が少なくなると困るのはなぜ?
それは、
- 高齢者を支えることができなくなる
- 生活に困っている人を支えることができなくなる
- 私たちの生活も苦しくなる
といった理由からです。

みんなで貧乏になるのならそれでもいいのでは?
「日本が全体的に貧乏になるのは仕方ないんじゃない?」
そんな考えかたもあるでしょう。
しかし例えば、現時点でもすでに、裕福な人とそうでない人の間には体格差があるといわれています。
資本家階級と非正規労働者の体格差
資本家階級 | 非正規労働者 | |
---|---|---|
健康状態のよくない人の比率 | 12.6% | 23.2% |
平均身長(男性) | 173.2cm | 169.4cm |
平均体重(男性) | 72.9kg | 65.8kg |
体格差だけではありません。
- うつ病や、その他の心の病気の診断や治療を受けたことがある人の比率
- 気分が落ち込むなど、心理的な理由で仕事などがてきなかったことのある人の比率
- 自分は何の価値もない人間のような気持ちになってしまう人の比率
このような心の問題についても、裕福な人とそうでない人の間には数倍の格差があると報告されています。
- 生活に対する余裕の差は、現実的に心や体の健康にも影響を与えてしまう
自分だけではなく、家族や社会のこともふくめて考えると、やはり必要なだけの豊かさは享受できたほうがよいのではないでしょうか?
なお、人生全体、つまり人生設計について考えるには、下記の記事を参考にしてください。

ポイント1:これからの働きかたは、高齢まで働くことになる
だからこそ、これからの働き方に備えるひとつめのポイントは
- 高齢まで働くことが当たり前になるという事実をポジティブにとらえる努力と工夫をする
必要があります。
高齢者が働くメリットもあります:
特に「老後の生活設計」は、将来における不安の第一位ともいえるものです。
75歳まで働くなんて……と、辛く感じる方もいらっしゃるかもしれません。
このとき大切になってくるのが、「楽しく仕事をするには?」という、仕事をポジティブにとらえる考えかたです。
未来に備えるためにも、楽しく働く工夫が必要になってくることでしょう。

これからの働きかたは、スキルを活かせる仕事を選ぶ
いままでの日本の働き方は、年功序列・終身雇用がメインでした。
いわゆる「メンバーシップ型」といわれるものです。
就職することは、会社という組織の一員(メンバー)になること。
組織に守ってもらう代わりに、自分の人生を捧げることが求められていたのです。
しかしこれからは、年功序列・終身雇用制は崩壊するといわれています。

これからの働きかはジョブ型雇用が増えていく
終身雇用制が「崩壊する」というのは、ちょっといいすぎかもしれません。
とはいえこれからの働き方は、
- 通年採用・ジョブ型雇用
が増えていくことは、間違いないでしょう。
- 通年採用:企業が必要に応じて、一年中いつでも採用を行っていくこと
- ジョブ型雇用:職務内容や勤務地、待遇などが明確化された雇用契約のこと
通年採用・ジョブ型雇用とは、企業が必要に応じて、必要なときだけ、必要なスキルをもった人材を採用していくイメージです。
ジョブ型雇用が増える理由
ではなぜ、ジョブ型雇用が増えていくのでしょうか?
ジョブ型雇用が増える理由
- 海外との人材獲得競争に負けないため、海外では一般的なジョブ型雇用を日本でも増やしていく必要がある
- IT や AI に関する技術の進展により、一部のエリート以外は会社に残りつづけることが難しくなる可能性がある
という理由が考えられています。
同一労働同一賃金制度もジョブ型雇用の追い風に
加えて2020年4月1日より、同一労働同一賃金制度が適用されました。
わかりやすくいえば、正規と非正規の格差を是正するための制度です。
非正規でもスキルがあれば、好待遇で仕事ができるようになる。
逆にいえば、正規でも能力が足りなければ、非正規と同じ賃金で頭打ちになってしまう可能性もあります。
同一労働同一賃金の適用も、ジョブ型雇用の流れを加速させるひとつの要因となるでしょう。
そこでメンバーシップ型とジョブ型の違いについて、わかりやすくまとめてみます。
メンバーシップ型とジョブ型の違い
メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の違いについてわかりやすく紹介します。
メンバーシップ型の6つの特徴

- 組織の一員として働く
- さまざまな部署・仕事・勤務地を経験する
- 定められた仕事がなくなったときは組織が別の仕事を用意してくれる
- 一括で採用される
- 社内研修や社内教育を受けられる
- 給料は年功序列
ジョブ型の6つの特徴

- 定められた仕事をこなすために働く
- 勤務地や労働時間、仕事の内容が決まっている
- 定められた仕事がなくなった場合や、能力が足りないと判断された場合は解雇される
- 必要に応じて通年採用で欠員が補充される
- 教育や研修はなく、即戦力として扱われる
- 給料は仕事の内容によって決まる
メンバーシップ型はクルーズ船
メンバーシップ型とは、いってみれば「クルーズ船にみんなで乗り込む」ようなイメージです。
大きくて乗り心地がよく、安全なクルーズ船に乗り込むことができれば、仕事人生という意味では安泰といえるでしょう。
ただし、自分で行き先を決めることはできません。
クルーズ船から放りだされてしまうと困るので、仲間と親睦を深めたり、困っている人を助けたりといった、能力以外の人間関係も大切になってきます。
ジョブ型は小型ボート
対してジョブ型とは、「小型ボートを自分で操縦する」ようなイメージでしょうか。
転覆する危険もありますし、乗り心地もよくないかもしれません。
しかし、自分で行き先を決めることができます。

ポイント2:これからの働きかたは、スキルアップのために「好き」と「得意」を活かす
メンバーシップ型からジョブ型への変化をうけ、次のような流れが生まれてくることでしょう。
- これからの働き方は、個人がそれぞれのスキルを活かしてプロジェクト単位で仕事をこなしていく
このときのポイントは
- あなたの「好きなこと」と「得意なこと」を活かしてスキルアップしつづける
ということです。
ジョブ型雇用×100年時代を生き抜くための「大人の勉強」
いま、大人の勉強とか、学び直しという言葉が流行ってきています。
それは、ジョブ型雇用×100年時代を生き抜くための、ひとつの方策といえるでしょう。
ジョブ型雇用は能力主義ともいえます。
あなた自身のスキルが、これまで以上に重要になってきます。
しかもそれは、一時的なものではありません。
仕事人生を通じて、アップデートしつづけていく必要があります。
これからの長い仕事人生においてあなたの能力を発揮しつづけていくためには、「嫌いで苦手」よりも「好きで得意」なことを選択していった方が効果的だといえるでしょう。
そこで学びを効率化するためには、「コーネル式ノート」というノートのとり方が役に立ちます。

これからの働き方の3つのルート「総合職・一般職・専門職」
これからの働き方について、より具体的に考えてみましょう。
おおまかな方向性として、3つのルートがあります:
- 総合職=組織の根幹を支えるエリート。キャリア志向
- 一般職=エリートを支える付随的な仕事をこなす
- 専門職=スキルを活かし、仕事単位で会社と契約するスペシャリスト
総合職とは、社内エリートとして仕事中心の生活をして、最終的には役員などをめざしていく生きかたです。
一般職とは、総合職の補助として事務や付随作業をこなしていく仕事です。
専門職とは、通年採用・ジョブ型雇用で仕事単位で会社を渡り歩いていくような生きかたです。

ポイント3:これからの働き方は、どのルートの仕事人生を進むのかを自分で決める
ここでのポイントは、
- 仕事人生でどのルートを選択するのかを自分で考えて決める
ということです。
例えば最近では、男性でも一般職を選択する人も増えているといいます。
一般職は、社内の出世については望めないかもしれません。
しかし総合職にくらべれば、「そこそこ働いて余暇の時間を有効活用するような生きかた」がやりやすいはずです。
空いた時間を自身のスキルアップにあて、副業をすることもできるでしょう。
副業や副業で起業する人も増える可能性
総合職・一般職・専門職というくくりからは外れますが、副業をしたり、個人として起業する人も増えてくるでしょう。
スモールビジネスについて学ぶには、下記の記事を参考にしてください。

まとめ:これからの働き方はどうなる? 未来に備える3つのポイントとは
1.仕事人生の長期化・高齢化:
- これからは男女関係なく70歳~75歳くらいまで働くことになる
- 高齢まで働くことが当たり前になるという事実をポジティブにとらえる努力と工夫をしよう
2.メンバーシップ型からジョブ型へ:
- これからはスキルを活かして仕事単位で働くようになる
- あなたの「好きなこと」と「得意なこと」を活かしてスキルアップしつづけよう
3.仕事人生の3つのルート:
- これからは専門職として生きる人が増える
- 総合職・一般職・専門職という3つのルートを意識して自分の方向性を決めよう

2035年の働き方の未来は?
実は、これからの私たちの働き方の未来について、すでに考えてくれている人たちがいます。
厚生労働省による「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために懇談会 報告書」です。
その内容をわかりやすく紹介しておきましょう:
2035年の働き方の未来は?
- 会社に帰属するのではなく、仕事に従事するのが普通になる
- そのため複業は当たり前になり、自分の専門的なスキルを複数の仕事のために活用できるようになる
- オンラインでのリモートワークが当たり前になり、働く時間を自由に選択できるようになる
- ただし、技術革新のスピードは速いので、常に自分のスキルを磨いたり新しいスキルを身につけたりする必要がある
このような未来は、個人的には実力主義的で厳しい社会だと思っています。
これからの働き方のためにできること
最後に、私個人がおすすめする「これからの働き方のためにできること」を紹介しておきます。
1.自分自身を知る
まずは自分自身を客観的に知り、好きなことや得意なことを見つけてみましょう。
そのための性格と強みの診断を紹介します。
2.セーフティネットを構築する
ジョブ型雇用は、会社にとらわれない自由な働きかたともいえます。
しかし社会における自由には、セーフティネットが必要です。
安心で充実した生活を送るために、下記の記事を参考にしてみてください。