頭とこころの整理法とは、体系的に整理をおこなうための手法です。

整理システムの実例のページでご覧いただいたように、ツール(道具)を活用し、整理それ自体をひとつの手法・方法論として実践していくことが可能になります。

ではその体系化された手法を実践していくと、どうなるか?

予想される利点

頭とこころの整理法を実践することにより、気になること、気になっていることを忘れられるようになり、かつ、適切な状況でそれを思いだすことが可能になります。

気になっていたことが気にならなくなることにより、ストレスが低減されたり、ストレスそれ自体を感じにくくなるかもしれません。

  • ストレスが低減される
  • 感情的に落ちつきやすくなる

頭とこころの整理法における目標

また「気になること」は、「その対処法を明確化できれば気にならなくなる」という習性があります。

ごく単純な例を考えてみましょう。

朝、あわてて出勤したあとに、自宅のカギをかけたかどうか? が気になる。

このような場合、対処法を明確化できれば気にする必要はなくなります。

  • 確認のためにいったん家にもどる
  • 近くに住む友人に電話して確認をたのむ

など。

重要なことは、「気になるか、ならないか?」というレベルにおいてはそれを解決する必要はなく、対処法を明確化できればそれでよい、ということ。

ですから上記の例でいえば、善し悪しは別にして、「思いきってほったらかしにしておく」というのもひとつの対処法といえるのです。

しかし対処法を明確化できなければ、それは「気になること」としてあなたの頭のなかに残りつづけることでしょう。

その結果としてストレスや不安を感じたり、落ち着きがなくなったり集中力を欠いたりといった影響を受けることもあるかもしれません。

実生活においては、さまざまな「気になること」が複雑にからみあっていることが多く、これらをきれいに忘れておけるように整理していくことが、頭とこころの整理法を実践するうえでのひとつの目標になります。

適切な状況判断

気になっていることが整理されてくると「なにをやるべきか?」ということが分かるようになってきます。

なぜならば、現状の把握が容易になってくるからで、さらに、整理がすすむにつれて、将来について考えることも可能になってきます。

つまり、机のうえが整理されており、どこにどんな書類がしまってあるかを完全に把握しているならば、そのときどきの状況にあわせて必要な書類をすぐにとりだすことができる。

これは「気になること」でも同じで、整理された状態をツール(道具)を活用して管理しておけば、状況に対してより適切な対応をすることが可能になるということ。

整理法プラスでは、現状の把握にくわえて、過去を記録しそれを参照することにより、より正確な将来のみとおしを立てることも可能です。

効率性をたかめる

計画の錯誤という言葉があります。

プロジェクトの成り行きを過度に楽観的に見積もる例は、枚挙にいとまがない。エイモスと私は、次のような計画や予測を「計画の錯誤」と呼ぶことにした。

* ベストケース・シナリオに非現実的なほど近い。
* 類似のケースに関する統計データを参照すれば改善の余地がある。

やや分かりにくいかもしれませんが、計画どおりにいかないのは、ある意味あたりまえであり、それは楽観的な見通しのうえに計画を立ててしまうという人間の習性によるものである、ということ。

もしかしたらあなたも、ダイエット、語学学習、仕事など、いままでに計画をたてたさまざまなプロジェクトについて、予定よりも予算や時間がかかってしまい、放棄してしまった経験があるかもしれません。

このような計画の錯誤を回避するためには、自分の考えを排除し、外部の客観的なデータを参照する必要があります。

例えばダイエットであれば、長期的なダイエットに成功している人についてデータを集め、分析し、それを自分にフィードバックしていくというようなことが必要。

ですがこれを個人のレベルでおこなうことは簡単ではなく、また手間がかかります。

ただし例外として、例えば主婦にとっての家事のような、熟達した作業については、かなり複雑なものであっても計画どおりこなすことが可能であると考えます。

また同様に、ひたすら卵の殻をむくなどの単純作業も計画の錯誤が起きにくいでしょう。

以上をふまえ、頭とこころの整理法では、計画を立てるかわりに、その場に応じた適切な状況判断をくりかえしていくというボトムアップ的なアプローチを採用します。

ただしこれは、トップダウン的なアプローチを否定しているわけではありません。

例えば読書の速度をあげたいというような場合は、「この本は一時間で読みおえるぞ」というようなトップダウン方式で取り組むほうが効果があがりやすいこともあるからです。

視野をひろげる、可能性を発見する

計画を立てるということは、その遂行に対して集中することを意味します。

前述した「一時間以内に本を読みおえる」という計画を立てたとするならば、おそらくその一時間、すくなくとも読書をおえるまではそれに集中するはずです。

逆に「一時間、自由に行動する」という計画を立てたとするならば、現状においてできることすべてに対して意識をひろげることになります。要するに「ヒマだけどなにしよっかな〜」という感じ。

このときに、整理がすすんでいれば、その場の状況に応じての適切な判断が可能になります。同時に、全体を見とおすことにより、あらたな可能性を見つけやすくもなるでしょう。

あらかじめ計画を立てその通りに実行していくことにくらべ、その場の状況に適した作業を俯瞰して選択していくことは柔軟性があります。

もしかすると多くの人は、三年なり五年後の目標をさだめ、そこから逆算して現在の行動を決めようとするのかもしれません。

しかしそれは熟達した作業または単純な作業でないかぎり、計画の錯誤を引き起こす可能性が高く、計画した時点で実現が難しい可能性すらあります。

また計画どおりにすすめられず、実現できなかったとしても、それは自身の努力や才能のせいではなく、単純に最初の計画が楽観的すぎたともいえるのです。

つまり、将来の目標を定めることを否定しているわけではなく、そのアプローチを変える必要があるということ。

頭とこころの整理法では、現状において最適と考えられる作業の選択をくりかえすことにより、それを達成していくことをめざしていくというボトムアップのアプローチ主としながら、熟達した作業や単純作業、また読書速度の例であげたような、トレーニング的な作業においてはトップダウン的なアプローチを採用していきます。

「頭とこころの整理法とはなにか?」まとめ

頭とこころの整理法とは、体系的に整理をおこなう方法である。

それによってストレスの低減、感情的な落ちつきを得るなどの利点が予想される。

また状況が整理されることにより、現状におけるより適切な選択が可能になり、同時に将来へのみとおしを立てることも可能になる。現状におけるより適切な選択が可能になることは、生活における自由度や柔軟性を高める可能性があり、それにより、効率性の向上を期待することができる。

このページの内容は概論ということでやや抽象的な表現が多く、分かりにくかったかもしれませんね。

次回からはすこしずつ、具体的な手順にはいっていきます。