フューチャー・オブ・マインド―心の未来を科学する

サヴァン症候群、という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

彼らは一種の超天才的な能力をもつ人たちであり、その能力は現実的には信じがたいものです。

 最もよく知られたサヴァンといえば、故キム・ピークかもしれない。彼は、ダスティン・ホフマンとトム・クルーズが主演の映画『レインマン』で、主人公のモデルとなった人物だ。キム・ピークは重度の精神障害者だったが(ひとりでは暮らせず、靴ひもを結んだりシャツのボタンを留めたりするのもやっとだった)、およそ一万二〇〇〇冊の本を暗記していて、そこからどのページでも、一言一句間違わずにそらんじることができた。一ページを読むのにかかる時間は八秒ほどだ(一冊を三〇分ほどで暗記できたが、読み方もふつうでなかった。見開きの二ページを一度に眺め、左右の目で別々のページを同時に読むことができたのである)。おそろしく人見知りをしたが、彼はやがて、難題を出してくる興味津々の見物人の前で、途方もない数学の離れ業をやってのけるようになった。

フューチャー・オブ・マインド―心の未来を科学する

しかしながら、ミチオ・カクのこの書籍によれば、記憶の形成には神経伝達物質であるドーパミンが関わっていると言われていますが、ドーパミンは記憶の形成だけではなく忘却にも積極的に関与(制御)していることが解明されつつあり、ショウジョウバエを使った実験では、受容体の働きを制御することにより、記憶力や忘却力を意のままに増減できることが明らかになったそうです。

そのような意味で、忘れることができるというのも一種の能力であるといえそうです。

「サヴァンには高い記憶力があります。しかし、記憶が彼らにこの能力を与えているのではなく、忘却のメカニズムがいかれているのかもしれません。(中略)」

フューチャー・オブ・マインド―心の未来を科学する

私は、整理というものもある種の「忘れるための技術」であると思っています。それは「思いだすための技術」と対になっており、その結果として人は、安心して忘れることができるのです。

それによって、無駄な記憶や情報で頭の中がごちゃごちゃすることを防ぐことができるようになるでしょう。

また精神的な落ち着きや心の平安、癒しなどといった感覚の源になる可能性がたかく、これは整理におけるひとつの効果ということができるかもしれません。